精力アップ

精力アップの代表格にんにく!

精力アップの代表格にんにく!

疲れが溜まっているときや、なんとなく体がだるいとき、「精のつく食材」を食べると、まさに元気が湧いてくるような気分になりませんか?
中でも、にんにくは「精のつく食材」の代表格であり、古くから精力の源として日本だけでなく世界中で親しまれてきました。
最近の研究でも、にんにくには精力アップに必要な有効成分が多く含まれていることが分かっています。それらの有効成分は、男性機能の回復に効果がある「アルギニン」や精子量増加を促す「アリイン」、そして代謝機能に大きな影響を与える「ビタミンB群」など実にさまざまです。
まさに、にんにくは天然の精力剤と言えるでしょう。

精力とは肉体と精神の総合力

「精力」という言葉を辞書で引いてみると、「仕事を次々と成し遂げてゆき、疲れを知らない活力」と出てきます。また、「精」という漢字には、「生物の根元にあるもの、たましい」という意味が込められています。
このことから、「精力」とは、肉体的な活力とやる気や粘り強さといった精神的な活力の総合力であることがわかります。
つまり「精がつく」とは、一般的にイメージされる性的な欲求や性機能の充実に加え、心身ともに活力がみなぎっている状態のことを言います。

精力がつく食材とは

栄養素(たんぱく質、アミノ酸、電解質)補給型/抗酸化、血流改善などの機能性成分添加型(潤滑油型)

「精のつく」食べ物として有名なのは、うなぎ、すっぽん、牡蠣などの「栄養素(たんぱく質、アミノ酸、電解質)補給型」と、にんにく、スイカなど「抗酸化、血流改善型、代謝活性化などの機能性成分添加型(潤滑油型)」が挙げられます。
年齢を重ねると運動量や食欲が減るうえに、水分量やコラーゲンの減少などで血液がドロドロになり、血圧が上昇して血管に不純物が溜まっていくことで次第に精力が衰えていきます。こうした体の機能低下を少しでも食い止め、改善してくれる食材こそが「精のつく食材」なのです。

しかし、これらの食材は一般的に高額であったり、旬の時期にしか食べられなかったりと、決して身近な食材であるとは言えません。
一方で、にんにくは1年を通して手軽に購入でき、工夫次第でどんな料理にも合わせられることから、日常的に摂り入れることができる食材であると言えます。

にんにくに含まれる精力アップの有効成分

にんにくには数多くの栄養成分が含まれていますが、精力アップには特に「アルギニン」「アリイン」「ビタミンB1とB6」という主な4つの成分が関係します。

アルギニンの効果

アルギニンの効果:精子の量を増やし、さらに活性化させる働きを持つことも分かっています。

アルギニンはアミノ酸の一種で、血行促進や、成長ホルモンを分泌する働きを持っています。また、精子の量を増やし、さらに活性化させる働きを持つことも分かっています。近年では、精力増強剤やエナジードリンク類に配合されるケースも見られます。

アリインの効果

アリインの効果:血管を拡張して、血液の流れをよくすることで精力アップを促します

アリインは、にんにくのにおい成分であるイオウ化合物アリシンの元の成分で、元気ホルモンの「アドレナリン」と「ノルアドレナリン」を増やします。
また、アリシンはにんにくの調理法によって、「スルフィド」という油に溶けやすいイオウ成分に変わり、元気ホルモンを一層増やします。
さらに、血栓の素になる血小板の粘り機能を抑えるだけでなく、血管拡張性のガス・シグナルの硫化水素となって血管を拡張して、血液の流れをよくすることで精力アップを促します。

ビタミンB1とビタミンB6の効果

にんにくのアリシンとビタミンB1とを化学的に結びつけると、ビタミンB1を吸収しやすくする width=

にんにくのアリシンとビタミンB1とを化学的に結びつけると、ビタミンB1を吸収しやすくするアリチアミンを形成します。
家庭でも、にんにくとビタミンB1を豊富に含んでいる豚肉を合わせて調理することによってアリチアミンができ、ビタミンB1の吸収が助けられるという可能性は残されています。
そもそもビタミンB1は、ご飯などの糖分(糖質)からエネルギーを生み出すときに必要な栄養素ですが、ご飯を食べるとビタミンB1は消費されるので、にんにく料理などで補うようにしましょう。
にんにくには、ビタミンB6も多く含まれています。このビタミンB6が不足すると、体内でいろいろな物質が生成されなくなり、記憶力が低下し、疲れやすくなります。

このように、にんにくに含まれる成分がそれぞれに働き、心と体の両面から大きく精力を高める役割を果たします。

健康科学研究所の久郷晴彦博士らの研究によると、にんにくを使って精子を増やす研究を進めた結果、動物実験で40パーセントも精子の数を増やすことに成功したという報告もあるように、科学的にもその効果が解明されつつあります。
医薬品である精力増強剤は、動悸やめまいなどの副作用のリスクがありますが、にんにくは副作用の心配もなく、手軽に安心して摂ることができます。

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摂取量の目安と効果的な摂取方法

1日の摂取量の目安は2〜3片程度。
アルギニン、アリイン、ビタミンB1、B6のそれぞれの薬効を得るためには、にんにくの鱗片の底部の固いところを切り落としてから、水洗いし、あとは鍋物にしたり、スライスしてからフライパンで野菜や肉と一緒にして炒めて食べましょう。

ビタミンB1の吸収向上は、アリシンによるものなので、この場合は、にんにくをすりおろすか、細かく刻んで肉と混ぜ、弱火でじっくりと加熱して食べるとよいでしょう。

一方、生のにんにくは刺激が強く、胃腸に負担をかけてしまうため、なるべく避けた方がよいでしょう。ここでは触れませんでしたが、にんにくに豊富な水溶性食物繊維は、便秘解消に抜群の効果も示します。
食欲がなかったり、バテ気味の時、忙しい時などは、手軽に摂ることのできるにんにくの“醤油漬け”や“酢漬け”がオススメ。また、にんにくのサプリメントで手軽ににんにくの栄養を摂り入れるのも賢い方法です。

ワンポイントコラム
日本の寺院ではにんにくを禁じていた!

かつて仏教の世界では、にんにくは淫欲や憤怒を起こし、修行の妨げになるものとして食用禁止となっていました。精進料理でもニラなどにおいの強い野菜とともに「五薫(ごくん)」と呼ばれ、避けられるべき食材となっています。
この風習は現在も残っており、禅宗の山門には、「葷酒(くんしゅ)山門に入るを許さず」という御札が掲げられています。

(監修:医学博士 有賀豊彦)

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