順調なターンオーバーが美しい肌をつくる
人間の皮膚は、皮下組織を除くとわずか0.5〜2 mmほどの厚さしかありません。その中で、ハリやなめらかさなどの肌の質感を左右するのが、いちばん外側の「表皮」です。0.2 mm以下というごく薄いこの部分が、外からの異物や刺激から体を守るとともに、体内から水分が蒸散するのを防いでいるのです。
表皮の細胞は絶えず入れかわっていて、約1ヵ月の「ターンオーバー」(代謝回転)のサイクルがあります。順調なターンオーバーは美しい肌をつくりますが、加齢や日焼けなどでターンオーバーが崩れると、肌の保湿力が低下してカサカサになったり、肌あれでゴワゴワになったりするのです。
皮膚を守るために身体の中の酸化を防ぐ
さて、最近の研究によると、年をとることは皮膚の内側の真皮という層をつくっているコラーゲンとエラスチンという細胞を支えている丈夫なタンパク質が、だんだんと減少することになるということがわかってきました。この皮膚にとって大切なタンパク質は、20歳からはっきりと減りはじめて、その後、20年ごとに約30%ずつ減少していくのです。実は、この減少を止めることはまだできていません。それでも、紫外線や身体の中の酸化(錆びること)が、この減少速度に関係することがわかってきたため、酸化を防ぐビタミンCやビタミンE、抗酸化成分を含む緑黄色野菜をとると、減少を食い止められ、皮膚を守るためによいとされているのです。
にんにくの効果は、これらのタンパク質に対してどのように影響するのかは、わかっていませんが、動物を使った実験で皮膚の傷を治す力があることが2009年イギリスのケンブリッジ大学の研究報告にありますので、これが朗報となっています。
にんにくを食べた後で経験する皮膚の「スベスベ感」は、おそらくにんにく成分が体内で働いて血液循環をよくしたためであろうと考えられます。
(監修:医学博士 有賀豊彦)