江戸時代、徳川幕府は全国の大名を統制するため、一年おきに江戸と領地の間を往復させ、さらに、妻と子を人質として江戸に住まわせて幕府の監視下に置きました。参勤交代にかかる費用と一年間の江戸での滞在費は莫大なもので、藩の財政を圧迫し、各大名の力を弱めさせ、幕府の権力を絶対的なものとするもととなりました。これが1635年、徳川家光によって制度化された「参勤交代」です。
江戸から最も遠かった、現在の鹿児島県域である薩摩藩の参勤交代はなんと1,600キロ!総勢1,240名にものぼる大名行列が江戸を目指して歩きました。長い距離をたくさんの人で何日も旅するのですから、その費用と労力は大変なもの。日数を節約するために、朝暗いうちに出発して夜まで歩き、一日平均35kmを約50日間かけて鹿児島から東京までを歩きました。
そんな参勤交代に赴く薩摩藩士のために家族が手づくりしていたと言われるのが「にんにく卵黄」。当時、全国的には、にんにくは食用としては広まっておらず、漢方薬の原料生薬として少量しか使用されていませんでしたが、薩摩藩ではにんにくの効能を早くから見出し、食用としてとても重宝していたのでした。参勤交代の長旅は、「にんにく卵黄」が無ければ達成できなかったかもしれませんね。
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